2005年度 園だより



3月1日 園長 斉藤昌子

 毎年今の時期には、夏の収穫を予想しながら、畑を掘っくり返して石灰を撒いたりして、ジャガイモの植付けの準備をします。
 3月になったら、みんなで種芋を植えようと待っているところです。

 20 年以上も前から続けていますので、だんだん腕が上がったように思っています。7 月になって園児さんたちが、蒸かしたてのジャガイモをふうふうしながら、

 「 幼稚園のジャガイモって美味しいね。」
 「 この皮も食べられるんだよ。」
 「 知ってる知ってる。甘い味がするゥ 」

等と言いながら、せっかく剥いた皮までまとめて食べる人がいたりして、とにかく面白い場面が展開するのです。

 そんな想像をしながら耕した小さな小さな 「 こども農園 」 ですが、今年もみみずや、もぐらのお世話になりながら、園生活を潤してくれています。

 [ 「 子育ての基本は、50 年前も 50 年後も、変わらないのよ。」 ]

と、牟礼幼稚園の園主先生は、信念を持って言い切られます。

 「 子供は、早寝早起きするものです。頭の回転のよい子にしたければ...。」
 「 子供は、出来るだけ手や指先を使わせることです。お家でも掃除や洗濯ものをたたむ等、できることは、どんどんやらせましょう。」
 「 そして、何はなくても朝ご飯を家族一緒に食べること。」

 牟礼幼稚園の皆さんは、またかと思われることでしょうが、「 そうか。」 と思って実行するかしないかで、結果が大きく違ってくることだけは、明白です。

 さあ、今日から早く起きましょう!


花の 3 月  園主 原 篤子

 3 月の声をきくと、何となく、ほっとする感じがします。
きびしい寒さも、乗り越えた思い。
春も目の前。
学年の、締めくくりを迎えた安心感。
お子さんたちが、生き生きと成長された、喜びと充実感。
他の月では、味わえない感動です。

 幼稚園では毎朝、全員で静かに音楽を聞き、園長の話を聞き、又昔ばなしを聞きます。
その間、一人も立ち歩くお子さんはいません。
 この、人の話を静かに聞く、という習慣は非常に大切な事だとおもっています。

 父母の話、先生の話、友達の話、をよく聞くことによって知識も身につくのです。
発言も大事ですが、まず、「 よく聞く 」 ことがより大事だと思います。

 むかし話は、「 勧善懲悪 」 です。
 具体的に、こんな良い事をしたから、親切にしたから、幸せになったと、年少さんにも分かる話をします。
一部でも頭に残り、良い行いの手助けになれば、と思いつつ話をしています。


2月1日 園長 斉藤昌子

 3 学期に入りまして、仕上げの意味の行事が続きます。
 26 日には 「 幼・保一年生授業見学 」 があり、高山小学校へお邪魔しました。
 近隣の 幼稚園 2 園も一緒です。
 それぞれ先輩をみつけては、手を振って合図していました。
 高山小学校は、三鷹の誇る、建て直したばかりの小学校ですので、明るい校舎で、伸び伸びと学ぶ児童たちが素敵でした。
 一年生の算数の授業が始まりました。
 先生は、プラスチック棒を使って、1 の位、10 の位を 10 本束ねのものとの比較をさせたりと、何回も何回もゲーム感覚での指導で、大変楽しいものでした。
 先生が 「 これで答えは合っているかな? 」 とおっしゃると、一年生に混じって、「 合ってるぅ.....」 等と叫ぶ園児さんもいたりして活気ある展開でした。
 園に帰ってから、「 どうだった? 面白かったでしょ?」 と聞いたのですが、
「 .....」「 うーん...」「 ちょっと面白そうかな?」
「 公文でやったから知っているよ 」 というわけで比較的冷ややかな感触だったのです。世の中、「 小一プロブレム 」 とか言う現象が流行るそうですね。
 幼稚園と小学校とのハードルが高すぎると起きる、学級崩壊につながる現象だそうですが、私は 「 小学校の方がよほどハードルを低くしていてくれるんだなあ 」 と感じました。 


親は先生  園主 原 篤子

今年はお正月早々から色々な事件がありました。
住宅建設偽装問題から株の不正取引、アメリカの牛肉問題等、みんな人の誠意を踏みにじる事ばかり。少し大きくなった我が子から、どうして? と質問されたら、なんと答えればよいでしょう。一部の悪い人がいてね、では、あまりに情けない話ではありませんか。
子ども時代は、大人にあこがれて早く大きくなって、あんな人こんな人になりたいと思っています。
人は目標があってこそ努力します。
幼児だって同じこと。幼児は一番身近なお父様、お母様を尊敬して、パパのようになりたい、ママのようになりたい、と思っている筈です。
日頃から、パパは大切な立派な人、ママはお料理世界一、などお互いに我が子の前でほめあって下さい。
そうすれば、子どもはやっぱりパパとママはえらいんだと、安心して素直に親の言うことをきく良い子になります。
間違っても子どもの 「 しもべ 」 にはならないでください。
梅の木は、寒さに耐えて立派な古木になり気品の高い花をつけ香気をあたりにただよわせ人々を引き付けます。
子どもに、公徳心や耐える心を教えるのは主にお父さま、好き嫌いのないよう食育して体の骨組みを作るのはお母さま。
 これは内緒、 「 夫婦の口喧嘩は、子どもの寝たあとに。 」
がんばってください。

 東風ふかば 匂いよこせよ梅の花
     あるじなしとて 春なわすれそ    菅原道真


1月10日 園長 斉藤昌子

 明けましておめでとうございます。
 今年も又、旧年にも増して素晴らしい年になりますように、園児の皆様方のご成長とご家族のご繁栄を、お祈り申し上げます。
 牟礼幼稚園のモットーであります、「 ひとり一人を大切に 」 を最大限に活かして、3 学期の仕上げの時期を乗り切りたいと思っています。

 先生たちは、毎日の 「 ホウレンソウ 」 (報告、連絡、相談) を何よりも大事にしています。
「 ○○ちゃんがころんだ 」 「 □□さんが手を貸してあげた 」 等から、「 △△さんの風邪が治りましたので、今日から来るそうです。よろしく。」 etc.
毎朝開門前の 「 5分間集会 」 で、様々の連絡をしますので、大概のことは職員全体が理解しています。なので、一人の園児さんには、担任のみならず先生方みんなの眼が、注がれている筈なのです。

 2 年ほど前から、三鷹市の健康福祉部子育て支援室の応援のもとに、「 いきいきと輝く三鷹の子供 」 のための小学校・幼稚園・保育園の連携について高山小をとりまく幼稚園・保育園が集まり、周期的に懇談会が開かれています。
 今年も年長の担任と園長が熱心に参加して、他園の現状や小学校でのあり方等勉強してきました。

 こうして幼稚園・保育園から小学校へ送りだした後も、ずっと連携が保たれればどんなにか心強いことでしょう。
 子供たちが健全に育つには、何が素晴らしく、あるいはどういう力が不足しているのか?等が、見えてくるのです。
 1 月 26 日には、ことしも高山小学校での 「 幼・保の一年生授業見学 」 も企画されていますので、今から楽しみにしています。


新しい年を迎えて  園主 原 篤子

 平成 18 年、2006 年の始まりです。
8 の次も、6 の字も共に角のとれた丸い感じの字です。
 今年は春から縁起がいい、との芝居のセリフのとおり、1 年を和やかに過ごせたらいいな、と願っております。

今年の目標

己 人 腹 心 気

気は長く、心は丸く、腹立てず、人は大きく、己は小さく、と読みます。


12月1日 園長 斉藤昌子

 澄んだ秋空のもと園庭に出ると、元気いっぱいの園児さん達から声がかかります。

「 園長先生、見て見て!」
「 はい、見てますよ。」

 すると、鉄棒やら雲梯(うんてい) やら、いろいろな箇所から一斉に、「 ダンゴムシ 」 や 「 ブタノマルヤキ 」 等の演技が始まります。

「 あれェ、いつの間に出来るようになったの?」

感心していると、メンバーも次々に替わって、「 逆上がり 」、「 空中逆上がり 」、「 連続2回 」、「 4回 」、「 6回 」 とみるみるレベルアップの様子です。

 みんな、自分のレベル以上の人をじっと見つめ、真剣に研究している感じですね。
 この時期、特に年中さんの成長に目覚ましいものがあります。
 もう少しで出来そうなお友達を、しっかり励ましてあげている人や、「 あのね、○○ちゃんが逆上がりが出来るようになったんだよ。」 と教えてくれる人。
 中には、私がちゃんと見てることを確かめつつ、黙々と高級な演技を披露してる人もいて、男らしいなと思っちゃいました。
 幼児の純粋な心根に、自然に心が和みます。

 つい先頃まで、登園時にはお母さんにしがみついて、別れを惜しんでいた人が、こんなに逞しくなっているのです。
 保護者の皆様! 何も心配いりませんよ。
 お子様達は、確実に成長しています。
 それも私たちの想像以上のスピードと正確さを持って。
 子供たちの成長のお手伝いが出来る幸せを、感謝せずにはいられません。


ゴマメの歯ぎしり  園主 原  篤子

世の中、ずいぶん便利になりました。
手も足も使わずに出来ることが何と多いことでしょう。
スーパーに行くのも、車か自転車。
洗濯も、自動洗濯機がやってくれますし、ご飯も炊飯器があり、しかも無洗米だとお米を入れるだけ。
ドアは自動ドア。手は全く使いません。
テレビもリモコンで体を動かすこともなく、これで茶運び人形ならぬ、ごはん運びロボットが実用化されれば、人は座ったままの 「 だるま 」 になってもおかしくありませんね。
そんな気がしてきました。

しかし良いことばかりではありません。
手を使わない習慣は、自分でドアを閉めることを忘れ、トイレのドアも閉めないで行ってしまいます。
これでは、他所様に伺った時に恥をかくのではないでしょうか。
デパートなどでは、開けておくところもありますが、習慣とは恐ろしいもので、本人に間違った意識はありません。
たかがドア一つですが、やはり考えるべきです。

暖房の効いた部屋にはいってきて、ドアを閉めない人がいます。
外からきた人には気がつきませんが、部屋の温度を下げるので中の人にとっては非常に迷惑なことなのです。
年の暮れに自分の行為を一寸振り返ってみることも意義あることではないでしょうか。

ドアをきちんと閉めない行為を、

「 並の一寸、のろまの三寸、ばかの開けっぴろげ 」

と言っていましめていたようです。(注: 一寸は約 3 センチ)


11月1日 園長 斉藤昌子

 今年も又、美味しい紫蘇の実を食べました。
園児さんたちも馴染みの味に大喜びです。

 この紫蘇の実は、春、幾多の雑草に混じって芽を出した紫蘇の苗を丁寧に抜き取り、折しもじゃがいもの収穫が終わった頃に 「 こども農園 」 の一角に 「 紫蘇畑 」 を造りだして、皆で水やりをしながら育てた無農薬の産物です。


 夏になると紫蘇の葉っぱを食べる、草色の精霊(しょうりょう)バッタやおんぶバッタが飛び跳ね子供たちのお友達として、畑は大いに賑わいます。

 「 このバッタは紫蘇臭いんだよ。匂い嗅いでごらん。」

と年長さんは、小さな弟、妹に教えています。

 そういえば、いつぞや、お母様のお一人が、

 「 うちの子が 『 「 紫蘇の実 」 作ってよ。プチプチしてて美味しいんだから...。』 と言うのですが、私、想像がつかないんで。」

と仰るので、一寸残っていた一瓶を差し上げましたところ、お母様仲間と試食してみて、

 「 うーん、納得...。」

なんてことがありましたっけ。


 「 お刺身 」 に付いている青い紫蘇の実はご存じですよね。それを丁寧にしごいて取り、水洗いのあと醤油と味の素でさっと煮るだけなんですがね。
 今年も、大鍋いっぱいほど煮付けまして、ご飯給食の日、ひと匙(さじ)ずつ配りました。
 なんと 「 年少さんまでもが 『 お代わり欲しいな 』 と言ってました。」
との先生がたからの報告に、やはりご飯に合う日本の味なんだなぁ、と笑っちゃいました。


半世紀前を思う  園主 原 篤子

 11 日は、牟礼幼稚園の創立記念日です。
自然に 10 年前、20 年前、50 年前のことを思いうかべました。ところが、新しい筈の 10 年前のことより半世紀も前のことの方が、印象にのこっているのに驚きました。
 まだ舗装もされていない道を、三々五々歩いて通っていた園児の姿、現在の三鷹台団地の所は田んぼでしたから、ざりがにがいっぱいいて、目を輝かせてのぞき込んでいた姿、冬になると霜柱が靴にくっついて困ったこと、園庭に "むしろ" を敷いてしのいだ事、園児たちが元気いっぱい走りまわって疲れをしらない姿、等。
 現在は全面舗装、石ころひとつなく、霜柱で困ることはありませんが、のんびりとはあるけませんね。
 それは車が多いことです。
 細い道でもいつなんどき車がはいって来るかわからない世の中になりました。自転車も凶器の一つです。
 テレビが子守りの役割を引き受けてくれ、電化製品によって家事の時間が短縮され、子どもに目が届くようになった反面、お母さまの "小言" が多くなり、必要以上に心配ごとが増えたのではないでしょうか。
 多分その半分以上は目と口で閉ざされたほうが良いのではないでしょうか。
50 年前の親は家事に時間をとられ朝から晩まで細かく子どもを見ていられませんでしたので、人の物に手をだすな、嘘をつくな、弱い者いじめをするな、これだけは厳しく、あとは少々けんかをしても、子ども達にまかせていました。
 そして子ども達は "自立" しました。


10月1日 園長 斉藤昌子

 秋たけなわの季節です。
 園児さんたちも、一段と成長した姿がみられ、たのもしい限りです。

 時節がら新入園を希望される方が見学にみえますが、4 月、お母さんと離れるのが悲しくて、あんなに涙にくれていた○○ちゃんも、お客様がみえると、さっそく玄関まで飛んで出て、

 「 こんにちは。」

と、ご挨拶します。
 お客様は勿論にっこりして、

 「 あら、ご挨拶が上手にできますね。」

とおっしゃいます。

 見学の方々が、年少組から年中、年長と各クラスを巡っていくうちに、

「 やはり年長さんは違いますね。ちゃんとご挨拶が身に付いていますね。」

と気付いていただき、私は心の中で、「 ヤッター 」 と思うのであります。
 3 年、2 年かかって身に付いた良い習慣を、ぜひ守り続けて頂きたいものですね。

 「 おはようございます。 」
 「 ありがとうございます。」
 「 ごめんなさい。」

 上記の挨拶を、当園ではごく自然に身につけています。
 これはひとえに日常の先生方の努力しかありません。
 特にガミガミ言っているわけではありませんが、園内にそういう雰囲気が出来ているのでしょうね。大切にしたい当園の 「 宝もの 」 です。
 有り難いことだと思っています。


民話の教え  園主 原 篤子

 中国地方の民話です。

昔、大泥棒が捕らえられた。
何回も盗みをかさねたので、遂に斬首の刑に処せられることになった。
いよいよ刑場にひきだされる日、役人が言った。
最後に何か望みはないか、と。

 「『 おっかあ 』 に会いたい。 」

その答えに役人達は、

 「 さすがの大泥棒も、最後は人間らしい気持ちになったか。」

と、母親を連れてきて会わせた。

すると、彼はいきなり母親に噛み付いた。
母親の悲鳴に役人達は驚き、どうしてこんな事をするのだ、と聞きただすと、彼は涙ながらに語りはじめた。

「 自分の家は貧乏だったので、母はいつもちびた下駄を履いていた。
ある日、他所の家の庭先に新しい下駄が見えた時に、母親の下駄を思い出し、こんな新しい下駄を履かせたいと思ってその下駄を持って帰って 『 おっかあ 』 に渡した。
『 おっかあ 』 がにこっと笑った。
はじめて見る笑顔だった。
それからは母の笑顔が見たくて、次々に盗みをはたらいた。
最初に下駄を持って帰った時に、悪いことだと叱ってくれていたらこんな大泥棒にはならなかった。
首を切られることもなかった。
だから私は 『 おっかあ 』 を恨んでいる。」 

と。


9月1日 園長 斉藤昌子

 長い夏休みが終わって、元気一杯の顔・顔・顔!
一段と逞しくなって第二学期を迎えます。
お休み中のお約束はただひとつ、「 ハイ 」 のお返事でしたね。
お名前を呼ばれたらともかく返事をしてほしいのです。
確実に身についた人はいますか?

 最近、病院などへ行く機会が多いのですが、待合室での返事が殆ど聞こえません。
看護士さんが、何度も繰り返して呼んでいるのにシーンとしています。いないのかと思うころ、ぬーっと立ち上がる人がいます。
「○○さんですか?」 と聞かれて、ようやく頭をコクリと下げるのです。

「お返事は?」

幼稚園だったら私は、間違いなくこう叫んでいるでしょうね。

断定はできませんが、これは携帯メールの所為ではないかと私は思っています。口で言えばいいものを、わざわざ文章にするんですよね。
先だって柔らかいものばかり食べていると、歯が退化してしまうというニュースの話をしましたが、同じことだと思います。
 直ぐに返事が出来ない、声が出にくいだけでなく、会話が成立しにくくなっているのでは?....。

 人さまの返事くらいでイライラしなくてもと思いますが、私たち幼稚園の世界では是非とも身につけなければならない 「 ハイ 」 の習慣です。
 園児さんたちの将来のために、先生たちはもとより、ご家庭での生活でも良い習慣が身につくように、一層のご協力をお願いいたします。


今、できること  園主 原 篤子

 9 月になりました。9 月は秋の入り口、でもお彼岸までは夏の続きというのが実感ですね。
園児のみなさん、ひとまわりも、ふたまわりも大きくなりました。今後は中身の充実が大切だと考えています。
実りの秋、いくら大きなりんごでも、中身の味がわるくては誰にも好かれませんね。
人の子も同じ。
可愛いと皆から愛されるのは外見だけではなく心の優しさ、利発さがあらわれる行動、態度ではないでしょうか。
今、出来ることを一つだけ実行させてみて下さい。
年齢に応じて身のまわりのこと、何でもよいのです。
例えば、

自分で左右を見定めて靴を履く。
家にあがるときは靴を揃えてあがる。
年長さんは立ったままで履ける。
おやつを貰ったら、ありがとう、いただきます、をはっきり言わせる。
些細なことのようですが、毎日実行しているうちに、自然に身について、どこに行っても育ちのよい子と人の目にうつります。
頭で覚える知識は、一夜でもできます。
体で覚える良い習慣は、一朝一夕には身につかないのです。
一つのことでも、身につけば、本人の自信につながり、一生の宝になるでしょう。
一度に詰めこまず、一つずつ楽しんで気長に習慣づけることが良い結果につながります。


7月1日 園長 斉藤昌子

 近頃びっくりした話です。
 歯科医師学会に提示された症例の中に 「 乳歯が生えかわらない子 」 が出てきたというのです。
 「 ・・・?・・・」

 一説によりますと、「 人間の進化 」 なんだそうですね。
 人間が長い年月を経て 「 二足歩行 」 になった、とか、尾てい骨は 「 しっぽ 」 のなごりだとか、学校でも習ったことがありました。
 「 ダーウィンの進化論 」 ですよね。
 二足歩行によって使わなくなった 「 しっぽ 」 がなくなったのは納得していましたが、 「 歯 」 だって、固いものを噛む必要が無くなれば、生えかわる必然がなくなるのは至極当たり前の話なんだそうですね。

 なんだか遠い世界のことの様に思っていませんでした?
 最近の 「 食文化 」 の発達は、「 柔らかめ 」 を追い求め、大人たちは大満足していましたけれど、それが子供の世界にまで及んでいるとしたら....。
 大変な事です。もともと気にはなっていましたが、やっぱりと思いました。

 幼稚園時代ならまだ間に合うかもしれません。
 ぜひ子供たちの 「 顎(あご) 」 の発達を促すような食生活を心掛けて下さい。
 日本の子供たちが、あっちでもこっちでも 「 総入れ歯 」 なんて...。あまり想像したくありませんから。

 「 どうすればいいか 」 ですって?
 簡単なことです。「 わがまま 」 を許さないことです。
 「 出されたものは全部食べる 」 という習慣を身につけさせてあげる事です。
 後は、お母様の知恵と愛情で 「 ごぼうや蓮根の炊いたん等を組み合わせて、週に一回位はおやつに 「 するめ 」 等、いかがでしょう?


夏を迎えて  園主 原 篤子

 気温が上昇し、冷奴のおいしい季節になりました。
お豆腐は大豆から作り、栄養上からも優等生ですね。
その上、葱や茗荷をいっしょに食べることで、噛んで食べることができます。葱は丸呑みできませんので昔の人の知恵でございましょう。噛むことで脳を刺激するそうです。

 お豆腐を食べる時、私はいつも思い出すことがあります。
それは、父の転勤で長崎にいっていた小学生のころの事なのです。
学校からの帰り道、川端を通るのですが、そこには土木工事の小父さんたちが、ずらりと並んでお昼のお弁当を食べていました。みんな同じように、"おかずが" お豆腐なのでした。
四角い大きな弁当箱には、"ごはんが" ぎっしり詰め込まれ、たくあんがのっていました。
その弁当箱の蓋に、"お豆腐が一丁ずつ" のせられているのでした。そのお豆腐の真ん中に丸く穴があけられ、その中にはお醤油が入っていました。
それを上手に食べている様子をみて、おいしそうなので、帰ると早速母にねだって、その通りにして食べてみたのですが、うまく食べられませんでした。お醤油がこぼれてしまうのです。
当時のお豆腐は、高さが 8 センチ位ありました。

 今頃になっても昔のことは案外覚えているものだなぁ、と思うと同時に、そのためにも、子どもにはたくさんの良いもの、良い言葉を見せたり聞かせたりしなければ、と思ったことでした。

 

6月1日 園長 斉藤昌子

 恒例の健康診断の日がやってきました。
 園医の宇井先生(三鷹第一病院院長先生) は、今年も白衣を着ないで診察に来て下さいました。勿論子どもたちに気を使って下さってのことです。
 午後の診察の時間になったので、担任が、

 「 さあ、服を脱いでみましょう。」

と言った途端に、何人かの園児さんが一斉に泣きだしたというのです。

 そうなんです。知っていたんですね。
 どなたが言ったの?
 お母様しかありませんよね。

 何も知らなければ、あっという間に終わってしまうのに、わざわざ大騒ぎになってしまいました。
 年少さんは一人泣き出すと、連鎖反応のように泣き出す傾向がありますので、先生方は汗だくになりました。

 これからもあることですので、老婆心ながらお願いしておきます。次々と行事の度に、お子様たちに先回りして言わないで頂きたいのです。

 「 今度の遠足はこうなのよ。きっとこんなものがあるからこうした方がいいわよ。」
 「 明日は保育参観日だから、ママも行くから頑張ってね。」

等々。
ありませんか?

 園児さんたちは毎日が初体験で、新鮮な驚きや楽しみの中で生活しているのです。
 一寸でも、先に不安材料があったり、心配な気持ちがあったのでは、楽しみも半減してしまいます。
 あの日急に泣きだした園児さんたちの、午前中の気持ちを思うと、どんなにか不安だったのかと気の毒になりました。
 牟礼幼稚園の園児さんは、益々健康に育っています。


初夏を迎えて  園主 原 篤子

 初夏。春とは違う明るさ、さわやかさ、を、のびのびと感じる季節ではないでしょうか。
木々の緑は次第に濃く力づよくなり美しく輝いて見えます。
先ごろ園の砂場に砂を補充しました。
周りの枠からはみ出すくらいたっぷりと入った砂場には早速かわいい笑顔がならびました。
見てみてと呼ばれるままに傍らに行ってみると見事なトンネルが出来ていました。
トンネルは一人で作るのは、むつかしいものです。
山の両方から慎重に砂をかきださなければなりません。
友達と力をあわせて作り上げたトンネル。
お互いに顔を見合わせてにっこり。
こうして人と協力することを自然に学ぶのです。
人世に必要なマナーはすべて幼稚園の砂場から学んだ、と言われる所以です。
年少児のおだんご作りも年長さんのやりかたを見て上手になります。
5 月 21 日には、この 3 月に卒園した一年生を招待しました。
わずか、ひと月あまりで、園児の時とは見違えるほど、たくましくみえました。
でも気持ちは園児の時代と変わらず可愛く先生方ともども楽しいひとときでした。


5月1日 園長 斉藤昌子

 年長組になって、初めて二階の保育室になった男の子ですが、同じ二階にある園長室に尋ねてきました。

 「 園長先生!僕、トイレに行きたいんだけど、トイレは何処ですか?」

 あらあら大変とばかりに、一緒にトイレに行きましたが更に驚いたのは次の一言でした。

 「 どうもありがとう。僕もう大丈夫。覚えました。」

 正直言って、涙ウルウルものでした。このお子さんの年少の頃を、突然思い出したからです。
 入園当時、何にでも興味津々で、お友だちの持っているおもちゃが欲しくていきなり取り上げたり、本人は 「 一緒に遊ぼうよ。」 と言っているつもりなのですが、パチンと相手を触るので、触られた方は、「 エーン叩いたァ 」 と泣き出してしまう。
 よくあるパターンです。
 その都度担任は、「 手で言わないで、お口で言ってみようね。」 と促しました。
 ご両親の努力にも頭が下がりますが、ここまでくれば大丈夫という気がします。人としての基礎が整いましたね。


 私たちは、将来の日本を託す人間を創っているのです。
 その最も大切な幼児期に、保育活動という機会でご縁が出来たことが喜びです。職員会では毎日のように、先生方が競って、

 「 園長先生、○○さんが今日こんなことが出来たんですよ。」
 「 嫌いと言っていた牛乳を、△△ちゃんが飲んでくれたんです。」

等々。嬉しいエピソードの報告をしてくれます。職員会の楽しみの一つです。
 これからも一人ひとりの個性が磨かれて、キラリと光を放つよう総力をあげて努力いたします。


子どもの心  園主 原 篤子

 新緑の五月、五月と言えば鯉のぼり。折角の鯉のぼりも最近は高層住宅の蔭になって屋根より低い鯉のぼりになってしまい時代の移り変わりを感じます。
しかし、どんな世の中になっても変わらないもの、それは人と人との交流です。
円満に付き合うための基本は、あいさつです。

 おはよう こんにちは ありがとう

この言葉が言えれば、人は生きてゆけるのではないでしょうか。
子どもは、言うことは聞きませんが、人まねは上手にします。
お母さまが一番のお手本であり先生です。
毎朝、お母さまと園の先生との、「 おはようございます 」 の挨拶を見てしっかりと心に刻み込んでいきます。
お子さまに、よく見せてあげてください。

 こんな話があります。
 わが子が柿の木にのぼっているのを見つけた人が大声で、「 危ない、柿の木は折れやすいんだから早く降りなさい!」 と言いました。
しかし子どもは決して降りようとはしませんでした。
それから幾日かたった日のこと、わが子が大声でなにか叫んでいる声を聞きました。それは柿の木にのぼっている年下の友達に対して、

「 柿の木は折れやすいから早く降りろ!」

と。
親の本気の声は、ちゃんと心に響いていたのです。
子どもは親の前では、少々甘えてあまんじゃくになるようですね。


4月7日 園長 斉藤昌子

 季節は確実に巡ってきます。
 年度末の忙しさであんなに慌ただしかったことがうそのように消えてしまいました。
 静かに煙る春雨も、心静まる序奏曲のようです。

 新しく入園や進級の時を待つ、小さなお子様達の心境はまるで桜の蕾(つぼみ) がじっと芽吹きの時を待つ頃と重なっていることでしょうね。
 人はこのように今日から新しく生まれ変わることが出来るのです。この特技を活かさない手はありません。
 「 今年こそは! 」「 今年限定で! 」 新しく生き抜きましょう。

 牟礼幼稚園も毎年リフレッシュを繰り返してここまで来ました。
 楽しみをいっぱい運んで来て下さる園児さんたちのお蔭で、いろんなアイデアが浮かびまして、工夫や新機軸も提供します。
 勿論、「 これ今ひとつ? 」・・・というものがあれば、即改善します。
 アイデアマンの元祖は、原 篤子園主先生であることは言うまでもありません。
 園主先生はじめ職員一同、皆様のお出でを心からお待ちしています。

 牟礼幼稚園の創立 55 周年の幕開けを、ただいまから宣言します。


ごあいさつ  園主 原 篤子

 みなさま、こんにちは。
わたくしは、この牟礼幼稚園を設立した原 篤子でございます。
以来 50 有余年、事故もなく平穏に過ごせたことは、ひとえに地域の皆さま方のご支援のたまものと深く感謝しております。今日、ご入園の皆さま方とご縁ができ大変光栄に存じます。又、進級された皆様とは益々縁深く結ばれうれしく思っております。

人にはその年代にこそ身につけるべきことがあります。
幼稚園時代には勉強ではなく人として生きていくために必要なマナーを学ぶ場でございます。
絵が描ける、字が読めるではなく、順番を守る、友達と遊ぶにはどうすればよいか、人にたいしての挨拶は、などの基本を身につけるよう毎日の遊びの中で指導してまいります。
子どもは一人一人みんな違います。
他のお子さんとくらべて一喜一憂するのではなく、わが子をみてあせらず対処してください。
今日からお母さまも一緒に園児になったつもりで規則正しい生活を。先ず第一歩は、朝、時間に遅れないように。
 9 時 20 分までに登園してください。
 時間を守ることは、すべての基本です。