2007年度 園だより



3月1日 園長 齊藤昌子

 園の玄関に立つと、保育室から、
 「 あっ、園長先生だぁー。」
 「 どこどこ?」
 「 ほんとだぁー。」

等と、賑やかに聞こえてきます。

 「 おはようございます。」「 おはようございます。」

と、口々に言いながらお部屋から飛び出してきてくれる園児さんたち...。
 「 おはよう。」 のほかに必ず、「 ダイジョウブゥ?」 と付け加えてくれる優しさに、心から 「 ありがとう。」「 ありがとう。」 を連発しながら事務室までの足を運んでいます。
 寒さを忘れて、なんと幸せなことかと、園長冥利につきる瞬間です。

 三学期終了を目前にして、保護者の皆さまには、一年間のご協力に対して本当に感謝申し上げます。そして叉、心ならずもいたらなかった点の数々を深くお詫び申し上げる次第です。

 けれども、園児さんたちの逞しい成長力はとどまることを知らず、特に年長さんは、小学校への憧れをますます大きくしています。
 先達ても、高山小学校に招かれて、授業中の見学をさせてもらいました。
 何年か前に、算数の授業を見学した時、一人の園児が、

 「 ワァー、難しそう...。やだなあ。」

と言ったのを思い出しました。その時はちょっと困りましたが、今年はそんな様子もなく、興味津々でみていたということです。
 その次に体育館での見学では、「 牟礼幼稚園の園児さんたちは、例外なく正座をして座りますので、自然と姿勢が良く、目立っていましたよ。」
との報告をうけています。
 毎日 15 分ほどの朝の集会が、このような時、役立っていますね。
 これから先も、お勉強のあいまに、数々の経験が必ずお役に立つ筈です。
 のこりの日々を、精一杯楽しんでくださいね!


さざんかに寄せて  園主 原 篤子

 年々歳々変わらぬ花は、咲くことによって私たちに季節を教えてくれます。
 朝に夕に眺めつづけている山茶花の花、今年も満開になり長いこと楽しませてくれました。
 ようやく峠を越えたらしく地面は花びらで赤い毛氈を敷いたようにみえます。
 しかし頭上の枝には、まだまだたくさんの赤い花が見え、毎日ひよどりがやって来ては花の蜜を吸っています。
 時には、すずめを追い散らしたりしながら細い枝の先に、ひょいととまって下から花の中に頭をつっこむような姿で蜜を吸う姿はおもしろく退屈しません。
 大抵二羽そろって飛んできます。
鳥は食べ物を貯蔵できません。その日その日にえさをさがさなければ生きていけない運命、雨やあらしの日にはどうするのだろう、と心配になります。
 それに比べて人間は幸せだなぁと、加山氏の歌を思いだしました。
1 分 1 秒も休まず働いてくれる心臓、これまで考えたこともなかった自分の体のことを、ふと、考えた一日でした。
 まもなく梅の花も咲くことでしょう。
花を見ながら、喧嘩のことを考える人はいないと思います。
たとえ、目の前に花がなくても、花の心をもって、いつも、おだやかにやさしい心でありたい。子どもの笑顔そのままに。



年のはじめに  園主 原 篤子

 初春のお慶びを申しあげます。
言葉のひびきの良い平成 20 年、明るくよい 1 年になりそうですね。
前向きに生活いたしましょう。
まず、東京都の教育目標の、

「 早寝、早起き、朝ご飯 」

を実践いたしましょう。
都の教育委員会が募集して最優秀賞にえらばれたのは下記の小学 1 年作、

「 1 日のえがおのひみつは朝ごはん 」

でした。
わたくしも子どもの頃を思い出しました。
両親と弟の 4 人家族で毎朝チャブダイをかこんで朝食をとっていました。
お砂糖のいっぱい入っている甘いきな粉が大好きで、お味噌汁を一気にのみこむと必ずきな粉をごはんの上にたっぷりかけて食べていました。
 実はお味噌汁の中にパセリが細かく切ってたくさん入っているのが嫌いで一気に流し込んでいたのです。
 現在こうして元気で生きていられるのは、幼少時、三度の食事をきちんと食べさせてくれた母のおかげと今、しみじみと思います。
 これは精がつくからね、と言いながら、鶏の 「 キモ 」 を炭火で焼いて貰って食べた味は今も忘れません。
お子さまたちは、今、給食のきらいな物を一口だけ食べる努力をしています。
 努力の積み重ねが大成します。


育ちのよさ  園主 原 篤子

 氏より育ち、という諺があります。
育ちとは、社会常識に添った行動や動作が自然にできる状態を言います。その場で教えられて良い行いを意識的にするのではなく、無意識に良い行動ができる人のことを育ちが良い人といいます。
 先ごろ早大の斉藤投手が記者会見の後退場するときのこと、席を立ち、ごく自然に椅子を机の下に入れて退場しました。
皆様も清々しい気持ちでご覧になったこととおもいます。
 良い習慣は一朝一夕にできることではありません。
 三つ子の魂百まで、と言われる所以です。
幼稚園では次の三つのことが全園児できるようになっています。

靴を揃える
手を洗う
椅子を机の下に入れる
 うめ組さんもできます。
お家ではいかがですか?
実行できているでしょうか?
忘れているようでしたら、一声かけて実行させてください。場所によって、したり、しなかったりはよくありません。二重人格のもとになり人の顔色をみるようになりかねません。
 習慣が身につくのは例外なしが大切です。
牟礼幼稚園の子は育ちが良いと言われますように。


11 月に思う  園主 原 篤子

 昭和 25 年 11 月、三鷹は三鷹町から三鷹市に改まりました。
奇しくも、その同じ 25 年 11 月に牟礼幼稚園も誕生いたしました。以来 50 有余年、三鷹市と共に一歩ずつ歩んでまいりました。
 当時は一面畑ばかりでしたが、今はすっかり変わって近代的住宅が立ち並び昔の面影はありません。
 しかし道路だけは変わっていないそうです。
実は、30 年前に卒園して現在大阪に住んでいるという男性が上京したので、といって尋ねてきてくれた時の話ですが、30 年ぶりに幼稚園にきたのに、一度も迷うことなく来ることが出来たのは、辺りは変わっているけれど、道筋は変わっていないので、と話してくれたことでした。

 変わらないのは幼児の瞳も同じです。
好奇心いっぱいのきれいな瞳は昔も今も変わらず、日々周りの状況をじっと見ています。
 このきれいな瞳に我々大人は、みにくい姿を見せてよいものでしょうか。
 万引きなどはもっての外ですが、口げんかや、他人の悪口を言いたい時に、幼児の瞳を思い出せば自然に良い言葉に変わるのではないでしょうか。自戒を込めて感じたことでした。


一足ずつ  園主 原 篤子

残暑が続きましたが、すっかり秋らしくなってまいりました。みどり一色だったもみじの葉が一番上の枝の先から真っ赤に変わってきて、次第に赤いはっぱが増えて、丁度、枝の先に赤い花が咲いているようで、自然とはすばらしいと感心しながらたのしんだことでした。

 秋はいいですね。
おいしいものが、いっぱい。
みなさん、たくさん食べて楽しみましょう。

 先日、テレビで、漢文学者の白川先生という方が、

 一歩ずつ動けば山でも移せる

と、お話ししてくださいました。
 ほんとうに、大人でも子どもでも一歩ずつ努力すれば、なんでもできるのだ、と改めて納得いたしました。

 子育てに応用して、10 年先、 20 年先を楽しみに、少しずつ少しずつ、良い方向に導いてまいりましょう。


生きる力  園主 原 篤子 

 猛暑、猛暑の文字が新聞、テレビに氾濫した夏休みでした。
皆様、お変わりなくお過ごしでしたでしょうか。
あまりの暑さに水でも撒こうかと庭に降りたトタンに無数の蚊がワッと押し寄せて、忽ち手足に黒々とくっつく始末。一体どこから飛んでくるのでしょう。
 我が家の小さな庭には、ボーフラの沸くような水たまりも無く池もありません。
庭木があるだけなのに。叉、人間の気配をどうして素早く感じとるのでしょう。
 蚊の本能といえばそうかも知れませんが、生命力とはすごいと思いました。
 この生きる力は人の子にも大切で、しっかり身につけて貰いたいと思っています。
 動物は動物らしく。人間は人間としての方法がある筈です。
人の生きる力とは、強いだけではなりたちません。
 困難に出会った時の思考力。叉、人は一人では生きられません。
人と協調するためには、他人に迷惑をかけない、感謝の心を伝える、これらのことを幼稚園時代からしっかりと身につけてほしいと願って日々努力しています。 


夏休みを前に 園主 原 篤子 園長 齊藤昌子

 7 月。夏休みを前に、ふと、子ども達の遊びのことが頭にうかびました。
 以前は夏といえば、まず水泳、次いで、蝉とり、とんぼ捕りと大体決まっていました。
女の子も積極的ではありませんが同じ傾向でした。
 夜は花火、ほたる狩り、これは毎日というわけにはいかず親の都合で時々実現するのでした。
 小さい子どもは、自分ではまだできませんが、じっと見て自分も大きくなったら、と期待していました。
 蝉やトンボは、捕ることが目的で、虫かごにいれて友達と見せあえば、もう興味は半減するのでした。
 ホタルを捕るのは簡単で、光りながら飛んでいるのを、うちわでたたくとすぐ地面に落ちてしまいます。
 虫かごにいっぱいホタルを捕って帰り、軒下につるして一夜を楽しんだ翌日は、もう、みんな死んでしまうのでした。
 これらは、子どもたちがいくら捕っても絶滅することはない、とは学者の言葉でした。
 絶滅するのは、大人達の環境破壊の時とのことでした。

 現在の子どもの遊びは、何でしょうか?
 環境がかわり、プールに行くか、ゲームで遊ぶことでしょうか?
 親が遊びを誘導するのではなく、子どもたち自身で考えて遊べるといいですね。
子ども同士でルールを決めて遊ぶ様子は可愛く見ていて楽しいものです。


6月1日 園主 原 篤子 園長 齊藤昌子

 年度がわりで、毎日を 「 忙しい忙しい 」 と過ごしているうちに、お外は、いつのまにか若葉も超えて、青葉の季節になっています。

 ふと気が付くと、入園当初、お母様と離れがたくて大騒ぎしていた人も、「 お母さんがいないなら、先生でいいわよォ。」 とばかりに、担任の先生の腰巾着よろしく、どこへでもくっついていたうめぐみ (3歳児) の人たちも、今はうそのように朝の音楽を静かに聴くことが、出来てきました。
この成長が素晴らしいですね。
 青葉若葉は、太陽の恵みという大自然の営みが働いていますが、園児さんたちも、ご両親はじめご家族の愛情という恵みに加えて、幼稚園の先生がたの目配り気配りが働いて、すくすくと目に見える速度で、発達成長を果たしているのです。

 園庭では、大部分の人は、遊具に乗って遊んでいますが、中にはもう、わが道を行く人がいます。そのひとつは、だんご虫さがし派です。
 この一派は、かなりしばらく飽きずに続きます。
 そして 3 年もすると、「 虫博士 」 と呼ばれるようになる人たちです。
 それぞれの片鱗を想像しながら、なんだか楽しくなってしまう、今日この頃です。


5月1日 園主 原 篤子 園長 齊藤昌子

 お赤飯を食べたことのない子がいました。
 2 才、3 才の子ならまだしも、5 才にもなって小豆つぶを選りだしている図には、びっくりするやら情けないやらでした。
 今は無くなったのですが、その昔、当園のお誕生会には、毎回その月のお母様方が、全園児のためにお祝いの昼食を作ってくださっていました。

 「 お赤飯きらいなの?」 

と思わず聞きましたところ、

 「 これ食べたことない。」

という返事だったのです。
ふと気が付くと、あちこちでそういう現象が起こっていたのです。

 日本には、お箸の文化があります。
 瑞穂の国の文化と言っても良いのですが、お米を大切に主食として来ました。
 毎月ついたち、十五日には、お赤飯を炊いて、各家庭で無事を祝ったものです。
 それが、お祝いは誕生日だけになり、お正月だけになり・・・していますが、お祝いのお菓子は何もケーキばかりではありません。

 幸い、もうすぐ来る 「 子どもの日 」 には、せめてスーパーのパックでもいいですから、お赤飯を食べさせてください。
 親子で一緒に、「 美味しいね。」 と食べてみてください。
 可愛い子供達に、「 美しい国日本 」 の由緒正しい日本の文化を知らせるためにも、お母様方に、是非ぜひご協力を願います。


4月7日 園主 原 篤子 園長 齊藤昌子

 新しい園舎が完成いたしました。
 保育室の建て替えは、私どもの長年の夢でした。
 岡孝建設さんの、並々ならぬご協力で保育時間を確保しながら無事完成して頂き、感謝に耐えません。

 3 月末になって、牟礼幼稚園の草創期の建物がいよいよ取り壊されました。
 外壁の板が少しずつ剥がされていった時、思わず喚声をあげてしまいましたのは、何十年か前のペンキ模様が現れたからです。
 今は、本園舎の正面にしか描かれていませんが、当時、横壁にはぐるりと小鳥とチュウリップのデザイン面が描かれていたのです。
 若い先生方からも感嘆の声が聞かれました。


 「 おしゃれェ....。」
 「 すごーい...。」

 そうなんです。私達もそう思います。
 40 年前、牟礼幼稚園のこの建物は光っていました。
 浅葱色の壁に、牡丹色の小鳥、そして青色のチュウリップの花は大変美しくて、遠目にも映えておりました。
 木造建築の悲しさで何回かの修復を繰り返すうちに、最近のような風貌に成り果ててしまいましたが、このたびの改築で息を吹き返したように感じます。

 これからは、地震の度に肝を冷やすこともなく、園児さんの安全が確保されることが何よりと、安堵いたしております。

 今後とも、牟礼幼稚園が、益々地域に根ざして発展することを心からお約束いたします。