3月1日 園長 齊藤昌子
3 月を迎えると毎年のように、つい口にしている言葉があります。
「1 月はイク、2 月はニゲル、3 月はサル・・・、だから 3 学期はあっという間に日が経ちますねぇ・・・」と。
一年の集大成ともいわれますが、やり残したこと、積み残したことはないかしら?
牟礼幼稚園で大切にしている躾の一つに 「ありがとう」 が言えること、があります。
園児の皆さんは、先生は勿論、お父様、お母様にしてもらったことに対して、普通に 「ありがとう」 が出てきていますか?
これが身につくのは、簡単ではありません。
そこで原 園主先生は、半世紀にわたって〔大げさ?〕工夫と実践を試みました。
「誕生日ワッペン」 の着用です。
園児さんは、一人残らず、朝の集会で、お誕生日当日〔休日の時は前日〕に手作りの 「お誕生日ワッペン」 を胸につけていただきます。そして全園児さんから、お祝いの
「おめでとう」 を言われ、胸を張って 「ありがとう」 と答えます。
その日は、一日中、全園児さんから、「おめでとう」 「ありがとう」 の繰りかえしとなります。
私も、誕生月が 1 月でしたので、小さな 3 才児さんからも 「おめでとう」 を沢山戴きましたが、その度に心がぴゅーっと温かくなるのを感じました。
牟礼幼稚園での 3 年間に、3 回も心から 「ありがとう」 を言うことによって、感謝の気持ちが実感できる瞬間だと思います。
「ありがとう」 をどれだけ沢山言えるかが、将来の幸せ度にかかわって来ると信じています。
卯月を迎えて 園主 原 篤子
早いもので、昨年 4 月はじめより、もう 10 ヵ月がたちました。
今年度の教育目標 (保育目標) 9 分どおり達成できたと思います。
それは、生きていくために必要な、マナーの基本を身につけることです。
具体的に例を挙げますと、
朝、 両親をはじめ誰にでも 「おはようございます」 が云える
日中のお客様に対して 「こんにちは」 と挨拶ができる
食事のときの作法
友だちに親切にされた時 「ありがとう」
まちがったことをした時は 「ごめんなさい」
紙くずが落ちていたら屑入れへ入れる
靴はそろえておく
椅子は、立った時、机の下に入れる
等々。
夕方、父親から、おみやげのお菓子を貰った時など、必ず 「ありがとう」 と。
もし忘れていたら、催促して、はっきり言わせてください。
些細なことのようですが、この行為が、自然に父親を尊敬する心を育てます。
以上のことが身についたお子さんは、思春期になって、反抗したり社会を乱したりすることはないと信じます。
幼稚園時代が、躾の一番効果の上がる時と思います。
1月1日 園長 齊藤昌子
あけまして、おめでとうございます。
皆さま、よいお正月をお迎えのことと存じます。
お正月とは、不思議なものですね。一夜明けて元旦になると、若水を頂き、初詣となり、心身ともに新しく生まれ変わった気分になります。
一年の計は元旦にあり
今年こそは、あれもしよう、これもしようと前向きに楽しい計画を考えるのも、お正月の故でしょう。
私も、考えることは唯一、園児の皆さんに楽しい保育を、お母さまがたにお喜び頂くことは何か? と。
今年は「トラは千里を走る・・・。」とか。
大いに、お母さま方のお知恵も拝借したいと願っております。
楽しいことをいっぱい探して、一年間前進いたしましょう。
年末を迎えて雑感 園主 原 篤子
12月の声をきくと、何となく気ぜわしく思うのは、あとの月がないからでしょうか。
でも、昔ほどの忙しさは 何もなくなりましたね。
薪や炭などの火を使わないため、煤払いの必要はなく、台所はステンレスなどでいつもきれいですし、また、障子の張り替えなどもなく、そういえば、最近は、畳をあげて竹の棒でパタパタしているのを、久しく見ていません。
あるのは、ガラス拭きくらい・・・。
ずい分楽になったものです。
一日の仕事を終え、夜、我が子の顔を見ながら、ほっとした時、よく、ここまで大きくなってくれたという 感謝とうれしさをかみしめながら、また、あの時はあんなに叱らなければよかった、という一寸ほろ苦さも味わうことがありますね。
生まれて、まだ 3 年から 5 年しか生活していない子ども達の、笑顔のすばらしさ、無心の笑顔は、周りのみんなを心から幸せにしてくれます。
毎日、その笑顔に接する幸せは、この上もありません。
物云わぬ赤ちゃんに、神様がくださった唯一の武器は、「笑顔」 だそうです。
あの笑顔を見れば、誰でも世話をしたくなるようにとのこと。
永遠に、子の笑顔を絶やしたくありませんね。
世の移り変わり 園主 原 篤子
流れる雲を眺めながら、ふと昔のことを思い出しました。
皆さまのご存じない昭和 10 年頃のことです。
当時も不景気で、「大学は出たけれど・・・。」。就職難の時代でした。
タクシーはやたらと多く、歩いていて一寸でも立ち止まると、すぐタクシーが近寄ってきました。
乗る時も、「○○町まで」 と行き先を告げて、運転手さんが 「○○円」 と答え、納得すれば乗るのです。
「円タク」 と呼ばれていました。
また、「タケノコ生活」 という言葉をご存じでしょうか?
昭和 20 年頃、配給の食料だけでは足りず、直接、農家に行って、お米や野菜を分けて貰いました。
その時、お金ではなく、着物を要求され、みんな訪問着や丸帯など、一枚一枚持っていき、少しばかりの食べ物と交換して生きてきたのです。
都会の人の箪笥(たんす) は、少しずつ空っぽになり、これをタケノコに例えられたのでした。
夜の主婦の仕事は、靴下のつくろいでした。
新しい靴下を買いたくても品物が無く、運動のはげしい子供達は、すぐ穴をあけて帰ってくるのでした。
現在は、食べ物も品物も、有り余っていますが、ユニセフ通信を見ると、まだ食べ物不足の人々が多くあるとのこと。ひとかけらのパンも捨てられないと思いました。
夢をもちましょう 園主 原 篤子
もみじの葉が、少し黄ばんでまいりました。
秋のはじまりですね。
四季があり、季節が変化するからこそ、私たちは、どんなに暑くても、どんなに寒くても、やがて来る春や秋を夢見て暮らすことができました。
先が見えなければ、辛い日は 3 日と我慢できなかったかもしれません。
我が子にも希望や夢を持ってもらいたいものですね。
年齢に合った夢。
3 才のお子さんに将来学者になる夢を話しても通じないでしょう。
年少さんは年長さんにあこがれています。年長さんは小学生を夢みています。
遠い将来のことではなく身の丈に合った夢を話してあげてください。きっと目を輝かせて聞いてくれるでしょう。
親ごさんも、我が子が大きくなって世の中の役に立つ、立派な人になるかと思えば、子育ては楽しみでございましょう。
お子さんはみんな個性を伸ばして立派な人になるちからを備えています。
成長の早い遅いは関係ありません。
9月1日 園長 齊藤昌子
9 月になりました。始業式の日には、まず、
「夏休みの中の3つのお約束を、守ることができましたか?」
と、尋ねることにしています。
今年の 3 つのお約束は、次の 3 つです。
嘘をついては なりませぬ。
弱いものを いじめてはなりませぬ。
親の云うことは きかねばなりませぬ。
もちろん、すっかり忘れてしまった人も、あるでしょう。
一つでも 口ずさんでくれた人は?
いいんですよ。忘れても......。幼稚園では繰り返し唱えていますから。また思い出してください。
なかでも一番大切なことは、「嘘をついてはなりませぬ。」 ですよね。
そうは言っても、「今の世の中、正直者は馬鹿をみる、のでは?」 という声が聞こえてきそうです。ホント、困ったものです。
「ごまめの歯ぎしり」 かもしれません。
私たちは、どんなに困った世の中でも、かけがえのない日本の未来のために、「正直者が得 (徳) をする世の中」 にしたくて、子どもたちに夢を託しているのです。
純粋無垢な園児さんたちは、私たち大人の云う事を、真っ直ぐにとらえて疑いません。それだけに責任重大です。
幼児はときどき現実と空想をとりちがえて、勘違いのうそをいうことがあります。
そんな時は、叱らずに正しく話してわからせてください。
夏休みが終わり、一段と頼もしく感じられる園児さんに期待して、更に、高みを目指したいものですね。
7月1日 園長 齊藤昌子
早いもので まもなく一学期が過ぎようとしています。
四月に入園された園児さんたちは幼稚園生活にすっかり慣れ親しんでくれました。
当園で、毎日おこなっている朝のお集まりでは全園児が一堂に会しますので、今日は誰がご機嫌ナナメなのか?又は、異常にハイテンションなのか?一目でわかる仕組みです。
各担任はもちろんのこと、全職員が暗黙の了解済みです。
朝、なんとなく暗い顔の園児さんには、それとなく声をかけてみます。
「おはよう ○○ちゃん。熱帯魚のプレコどこにいるかしら?一緒に探してみてくれない?」
すると、たちまち興味を持って、水槽にしがみつくように目をこらしてプレコを探します。
プレコとは、水槽のお掃除屋さんで、底にくっついた藻などを食べて暮らしています。岩かげが好きで、いつも水槽の下のほうにいますので、年少組の人たちにはお馴染です。
「あっ、いたいた。プレコ。今日はあんな上の方にとまっている。」
「プレコ、たくさんいるみたい。」
いつも、あまり口数の多くない○○ちゃんは、熱帯魚のプレコに思いを乗せて (?) 水槽の上の方を、うっとりと見上げているうちに、すっかり機嫌を取り戻してクラスの中に溶け込んでいきます。
○○ちゃんの、次の関心事は、多分 「ダンゴ虫」 か 「バッタ」 かもしれませんね。
お魚さんはじめ、小さな虫たちの影響力は大したものです。
朝のすべりだしが大事なのは言うまでもありません。
一日の大半を生活する幼稚園ですから、私たちは本物のファミリーを任じています。
私たち保育者はかくして今日も、園児さんたちの無事と成長を見守りつつ幸せに暮らしております。
6月1日 園主 原 篤子
6 月 10 日は時の記念日です。
時間は、一度過ぎると、再びもどすことはできませんね。
3 才の時代は、二度とこないのです。
4 才、5 才また然り。
幼稚園時代の今、しなければならないことが沢山あります。
園では、各学年にあわせて、ものの考え方、言葉の使い方、手足の動きなどを、遊びながら身につくよう、心がけています。
3 才位になれば、ゆっくり手順をつけて教えれば、下着や園服など、自分で脱ぎ着が出来るようになります。
はじめは、時間もかかり不器用ですが、ゆっくり見守ってあげてください。
身体検査の時、短時間で脱ぎ着出来るお子さんと、いつまでも自分で出来ないお子さんとに分かれます。急にはできません。毎日けいこした 「かず」 だけ上達します。
特に年長さんには、お母さま方の、指図する 「親切」 よりも危険のない限り黙って見守る方が お子さんの自立のために、ずっとずっと役立ちます。
自立した頼もしいお子さんになるよう、願っています。
5月1日 園長 齊藤昌子
新入園児さんを迎えて約ひと月になりますが、季節の移り変わりとは、なんと早いものかと感じる子供今日この頃です。
幼稚園では、園児さんたちの態度や表情が一種のバロメーターになっていまして、朝一番、さわやかな 「おはようございます」 が云えたか? ということが一日の活動を決める大事な要素といっても過言ではありません。
目下、お母様方の協力を頂きながら 「おはようございます」 をはじめ、「さようなら」 や 「ありがとう」 を、ふんだんに散りばめながら毎日を送っているところです。
繰り返しくりかえしが成功への早道と考えています。
個性豊かなお子さんたちですが 保育活動のひとこまをご紹介しましょう。
先だって、おもちゃを人に向けて投げてしまい、「それはだめだよ。」 と言われたことがきっかけで、すっかりご機嫌ななめになってしまった男の子。
「おうちに帰るゥ。ママがいい・・・。」 と大泣きになりました。
困った担任の先生が、園長室まで遊びに連れてきましたので、「しばらく、ここにいていいですよ。」 と、担任にはクラスに帰っていただきました。
しばらく泣いていましたが、園主先生と園長二人で黙って様子を見ていますと、やがてキョロキョロとあたりを見回し始めましたので、すかさず園主先生が、「ジャンケンポン、やってみようか? 園長せんせいと、やってごらん。」
とのことで 「さいしょはグー、ジャンケンポン。」 と何回もやりました。
次第に興にのってきた彼は、大はしゃぎで 「お友達とやる」 と言ってクラスにもどりました。
翌日の彼は、朝一番、にっこりして 「園長せんせい おはよう・・・」 と。
今日もまた、新鮮な保育活動が繰り広げられています。
4月1日 園長 齊藤昌子
幼稚園の日々
いよいよ新学期が始まりました。
お子さまにとって、幼稚園は、これからの長い学校生活の第一歩となります。
人は、一人では生きていけません。
幼稚園は、他人に迷惑をかけない自立した立派なお子さんに育ってほしいと願っています。
文字が読めたり、100 まで数えられることが立派なのではありません。親や近所の人に 「おはようございます」「こんにちは」 と頭をさげることのできるお子さまが、はるかに立派なよい子なのです。
園の先生方は、遊びの中で自然に以上のことが身につくよう心をくだきます。
例えば、
・物を投げるとガラスなどが壊れて危ないね。
・砂場の砂を 高い所から落とすと 友だちの目の中に入って痛くなるから気をつけてね。
・いきなり友だちを押したりすると びっくりするからやめようね。
こうして、友だちとのつき合い方を身に付けることで思いやりの心が育ちます。
子どもにとって、一番信頼できる先生は、いつも身近にいてくれるお母様です。
お母様の一挙一動を見て覚えるのです。
この際、お母様もしばらくは幼稚園児になったつもりで 園の方針にご協力ください。