2010年度 園だより



3月1日 園主 原 篤子

 この一年間で、お子さま方は、心身共にすばらしく成長いたしました。
 年長さんは、入学準備万端ととのいました。
 知識ではなく、それよりも、もっと大切なこと、それは授業を受ける心構えと態度です。
 一時間の間、椅子に腰かけて先生の話に注目することができるようになりました。
 はじめての学校生活にも、ご心配はいらないと思います。
 子ども自身で、切りひらいていく力も、ついていますので、ご安心ください。
 お母さまの不安顔は、子どもに伝染いたします。
 我が子を信じてあげてください。
 
 年中さんは、既に年長さんになる心構え充分のようで、何もかもわかった気で、ルンルン気分でのびのびと、園生活を楽しんでいるようです。
 年少さんも、すっかり友だちと打ちとけて、楽しそうに遊びに熱中しています。

 この遊びこそが、大事な教育の場です。
 友だち同士での、いざこざの一歩手前で、先生が適切な言葉がけをしてマナーやルールを覚えてまいります。
 いろいろな性格の友だちが、あるからこそ、たくさんのことが経験でき、人格が形成されていきます。 
 家庭ではできないことと思います。


ことばの重み  園主 原 篤子

 幼児に対して大事なことは 善悪の区別を認識させることだと思います。
いたずらをしたり、人に迷惑をかけたりした時、親のひとことで素直にやめるお子さんがいる反面、大声を出して注意しても、なかなかやめないお子さんもいます。

 先生の言うことはすぐ聞くけど、親の言うことはなかなか聞いてくれないと言われることがあるのですが、これは、先生がえらいのでもなければ、こわい顔をするわけでもありません。
 ただ、教師のことばは、ぶれないからです。
 一度、禁止したことは、状況に関係なく禁止します。

 親の場合は、ねだられると、つい、「一回ぐらい いいか・・・・」 となってしまいがちですね。
例えばお菓子など 「もっとほしーい」 と言われると、つい 「これだけよ」 となってしまい、又ねだられると、「これでおしまいよ」 などと言いながら、「おしまい」 が 3 度くらいつづくようです。

 これでは子どもは、親がダメと言ったら、3 度位はダメではないとしっかり学習してしまうでしょう。
 一度言ったことばは、しっかり守るようにすれば、子どもは親の言うことばを信じて、素直に従うのではないでしょうか。

 公園に行く約束をしたなら、たとえ雨がふっても 「傘をさしていく」 ぐらいの決心が必要かもわかりませんね。
 色々な理由をつけて、約束を守らないでいると、その場では分かったようでも次第に不信感が養われていくようです。
 子どもも、一度ダメと分かれば、無駄な抵抗はしません。



1月1日 園長 齊藤昌子

 新しい年の初めを寿ぎ、まことにおめでとうございます。
 園児のみなさんをはじめ、ご家族の方々のお健やかな一年を心よりお祈り申し上げます。
 牟礼幼稚園も 61 年目の第一歩を大きく踏み出すにあたって、長年の夢と希望の更なる実現を、と願っております。

「明るく賢いこどもを育てたい。」
「それには 先ず健康が第一。」
「情操教育も大切。」・・・・・・と。

 毎日の、限られた保育時間の中で、先生方は、精一杯の保育活動を展開しております。
 ピアノも、歌も、絵画制作も。そしてスイミングに体操・おゆうぎと。
 月案に従い、週案を作り、各クラスでの特色ある保育活動は素晴らしいものです。
 勿論、お子さんたちの目覚ましい成長に、助けられてはいますが、職員会では、各園児さんのうれしい成長の報告が飛び交い、ほんとに心温まることばかりです。
 その一部は、この冊子※の 「クラスだより」 にも掲載してありますのでお楽しみください。
  
 こどもの成長には限りがありません。
 まだまだ伸びて貫いたいことが、沢山ありそうです。
 一歩ずつでも前進をめざしましょう。

 ※冊子とは、園児に配布される園だよりのことです。


年末に際して  園主 原 篤子

 締めくくりの 12 月を迎え、この一年を振り返ってみました。
 園児の皆さんは、日々成長し、ほぼ、ねらいは達成できたと思います。
 目標は、一度にたくさんは、かかげません。
 年齢に応じて一つずつ決めてゆき、3 年間で、完全に入学態勢が整うようにと、考えています。
 楽しんで絵を描き、大声ではなく、きれいな声で歌うことも覚えました。

 園内に上がって来る人は、お客様だから 「あいさつを」 と教えてありますので、来園した方から、「子ども達から、こんにちは、と言われて感動した」 と、度々報告されています。
又、暖房してある部屋のドアは、開けたら必ず閉めるように言いましたら、年少さんも、きちんと閉めてくれます。

 このような何気ない、日常の動作を繰り返すことによって、よいマナーが自然に身に付き、それが品格につながります。
 招かれた家に行って、上がったあと、靴がきちんと揃えて脱いであれば、「あの子は行儀のよい子だね。」 と言われ、一目おかれます。
 一朝一夕には出来ません。
 毎日のお母さまを観て、見習って育ちます。

 同時に、幼稚園の先生たちも、一日とて、手抜きの出来ない仕事として命を懸けて頑張っていることを付け加えておきます。


創立記念日を前に  園主 原 篤子

 昭和 25 年 11 月 11 日、当園を設立して、いつの間にか 60 年という年月が流れてゆきました。
 60 年前は、極端な物資不足、食料不足で、すべて配給制で、大人は生活に必死でした。
 小学生以上の子ども達は、集団で遊んでいましたが、入学前の幼児はまだ仲間に入れて貰えず、遠くから眺めていたり、1 人で土いじりなどをするしかありませんでした。

 それを見て可哀想になり、我が家にあったオルガンを持ち出して一緒に遊び始めたのがはじまりで、地域の皆さまの後援を頂き、牟礼幼稚園が出来たのでした。

 以来、まわりはすっかり変わりました。
 霜柱で難渋した道路は完全舗装され、畠や田んぼは、近代的な住宅になりました。

 卒園生は、2800 人を越えました。
 協力して頂いた先生方は 100 人超になります。
 好奇心いっぱいの、生き生きしたまなざし、まっすぐな心を持つ園児の皆さんに囲まれて過ごす毎日は幸せいっぱいです。

 西に東に、世の中の第一線で活躍している卒園生に思いを馳せ、在園児の皆さんも 「お早う」「ありがとう」を忘れず、みんなに愛される人となってほしいと願っています。


ゆとり  園主 原 篤子 

 赤ちゃんは、這い這いをはじめ、やがて立ち歩きができるようになります。赤ちゃん
 初めての一歩をふみ出す時、赤ちゃんは何回尻もちをついたことでしょう。
 倒れても、転んでも、あきらめることなく又、立ちあがっては、くり返して、やがて最初の一歩をふみ出した時、親の感動は言葉に表せない位ですね。
 根気よく見守ったものです。

 この時、「早く」 とか 「こうすれば」 とかは考えませんし、言いもしません。
 この時の待つ心、見守る気持ち、鷹揚な心を思いだして、幼児期にも活用して頂きたいと思います。

 早く早くとか、○○さんは出来るのに、などとあせらない気持ちが大切です。
 時間にゆとりをもってはじめれば、早くと言わなくてもすみます。
 時間をかければ、必ず出来るようになります。
 しょっちゅう、早く早くとせかされていると、落ち着きがなくなるでしょうし、或いは 「馬耳東風」 になるでしょう。

 心の広い、やさしい立派な人になってほしいですね。
 10 月は心身共に充実する季節です。親子共々、ゆったりと楽しい日々をお過ごしください。 


二学期を迎えて  園主 原 篤子

 暑い、暑い夏休みでしたね。
みなさん、おやすみ中、お元気でしたか。
「暑さ寒さも彼岸まで」 と言いますように、秋のお彼岸が待たれます。
夏休み中の幼稚園は、しーんとして、工事の音だけが、ひびいていました。

 今日から又、元気な、みなさん達の笑い声が聞こえ、園内は活気をとりもどしました。
 二学期のはじまりです。

 子ども達は、一日一日休みなく、心身共に成長しています。
 それを実感できるのは、無上の楽しみです。
 一人として、成長しないお子さんはいません。
 特に、二学期は実りの秋と言い、お米や果物だけでなく、人間も、一段と成長します。

 楽しいこと、うれしかったことがあった時、先生や友だちにお話するでしょう。
 コミュニケーションのはじまりです。

 水のかかったお友達を見ると、自分のハンカチを出して拭いてあげる。
 これは、心の成長がなければできないことです。
 私達は、内面の豊かな心を育てるよう、努力していきます。


雑感  園主 原 篤子

 最近 雀が少なくなって 淋しく思っています。
少し前までは、パン屑を投げると、間をおかず、どこからともなく雀が 10 羽近くも飛んできたものですが、この頃はすぐには飛んできません。
少したってから 2、3 羽くるのがやっと、という有様。
仲間が減っているのではないでしょうか。
たかが雀、と馬鹿にしていたのに、いざ来なくなるとすごく淋しい思いです。
 聞けば、巣作りする場所がなくなったからだとか。
日本家屋だと、屋根裏とか瓦の下などがありますが、ビル群には何もないから、巣作りが出来ないのだそうです。
 私達は文化という名のもとに、便利一辺倒の生活にあこがれて楽な暮らしを求めてきました。
 しかし、よく考えれば不便でも、やはり自然の多い生活が必要ではないかと思います。
樹木は放っておいても、ぐんぐん枝をのばしてくれます。
夏になると、葉っぱが日陰を作ってくれますし、冬には葉を落として、日光をたっぷり与えてくれます。
 私達は自然に守られているのですね。
 人間の知恵も大切ですが、自然界の偉大さを、子ども達にも伝えてまいりたいと思います。
 これからも子供達には、 

「誰もみていないようでも、神様かお天道様がみていますよ」

と常に教えることが、大切ではないでしょうか。


6月1日 園長 齊藤昌子

 皐月びよりの一日、神代植物公園は、百花繚乱のばら苑がひろがり、薔薇の香りでいっぱいでした。
毎年恒例の遠足ですが、園児さん達は 「いい匂いだね。」 と顔を近づけてクンクン。
ばら苑を抜けると、お目当ての大芝生園です。
私たちが、計画したとおりの場所に陣取りができました。
(それはトイレに近い場所のことです。)
先ず、各自持参の敷物を敷いて、お水をごくごく。 「おいしいねぇ」 「この水つめたいよ」 etc.
賑やかこの上もありません。

すると、林の中から 「園長先生ちょっと ちょっと。」 と呼ばれて行ってみると、三脚に大きなカメラを載せて、何やら撮ろうとしている方々がいらっしゃいます。神代植物公園野鳥の会の皆さんです。
「あの櫻の樹を見てごらんなさい。下から 2 メートルですよ。アオゲラの巣があるでしょう。オスとメスが交替で卵を温めています。」
「さっき交替したので、3 時間後にオスが帰ってくるはずです。その瞬間を撮るために、こうやって待っているんですよ。」
「毎日、見張っています。特にこれからは、蛇にやられないようにね。」
「アオゲラは日本固有の種ですからね。」
「オスは頭に真っ赤な模様があって、綺麗ですよ。」 と教えていただきました。

折しも佐渡のトキが、抱卵中の卵をカラスが持っていったニュースを見たばかりでしたので、野鳥の世界も厳しいんだなあと思い、このようなボランティアの方々の努力が、如何に大切なのかと感じました。
園児さん達には、「小鳥の赤ちゃんがいるから静かに歩こうね」 とだけ伝えました。ちなみに、 「6 月はじめには雛がかえるので、観に来てください。」 とのことでしたので、関心のある方はどうぞ。


5月6日 園主 原 篤子

 新緑の美しい季節を迎えました。
 
 新学期開始から、丁度一ヵ月。
 お子さま達もそれぞれ、各クラスで落ち着いてまいりました。
 特に、年長さんは、最高学年になったことが嬉しいようで、自身をつけて、はりきっています。

 この機会に、よい習慣をつけたいものですね。まず朝の挨拶、園にくれば毎朝、先生に 「お早うございます。」 と自然に言えるようになりました。
 ご家庭でも、朝、両親に、「お早うございます。」 と言えているでしょうか。
 毎朝、「パパお早うございます。」「ママお早うございます。」 と言わせてください。

 心の中に、親に対する尊敬の念が育ち、思春期になって親を見下すことがなくなるでしょう。
 「お早うございます」「こんにちは」「ありがとう」
これだけ身についていれば、どこに行っても人と交わることができます。

 よい習慣は、幼稚園時代でなければできないのです。
 小学校へ行くようになってからでは、おそいのです。
 生涯の 「たからもの」 として、教えてあげてください。


4月7日 園長 齊藤昌子

 22年度の幕開けとなりました。
 今年度も、園主先生はじめ職員一同、心して明るい保育をめざそうと、張り切っております。

 世の中がどんなに変わろうとも、子どもの成長は待ったなしです。教育界もようやく見直しがはじまり、ゆとり教育とか、ゆるみ教育とか (?) をやめることになりました。
 ある中学生が、

「私たちは ゆとり教育まっただ中で育ちましたんでものをよく知らないんですゥ。」

などとつぶやいていました。
 冗談とも思いましたが、ある面、納得してしまいました。

 牟礼幼稚園では、この 60 年間、一貫して就学前の躾について真剣に保育してまいりました。
こころと身体の、バランスのとれた可愛げのある子ども。言いかえれば 「おはよう」「ありがとう」「ごめんなさい」 と素直に言える子どもにしたいのです。
 幼稚園時代に覚えたことは、「三つ子の魂百まで」 ということになります。

 親と子と先生とで、三位一体となっての、素直な一年にいたしましょう。
 よろしくご協力をお願い申し上げます。