2016年度 園だより



3月1日 園長 齊藤昌子

 立春を過ぎたとはいえ、まだまだ寒さの続く中ですが、お子様たちもずいぶん成長なさいましたね。まもなく又、大きく一歩前進の時がやってまいります。
 この時期、良いこと、悪いことの区別をしっかり教えましょう。極端な例ですが万引きをしても、悪いと思わない人は困りますものね。

 それには幼児の時からの「しつけ」が大事なのです。
がみがみ怒る必要はありません。
しかし、悪いこと…例えば、人に迷惑を掛けること、他人を叩く、物を投げる、公園の花をむしる、人の物を取る…等を、「小さいんだから仕方ない」と見逃すのではなく、はっきりと「いけません」と注意をしてほしいのです。
 笑いながら「だめよ、だめよ」ではなく真剣な顔をして注意すれば、幼児といえども分かるのです。

 幼児は親の顔を見て、笑っている時は良いこと、真剣な顔の時は悪いことと覚えていきます。
 こうして次第に良いこと、悪いことを認識して良い子に育っていきます。みんな将来立派な人になる国の宝です。
 お母さま方、楽しみに子育てをお願いします。
 牟礼幼稚園一同の心からの応援が届きますように。


2月1日 園長 齊藤昌子

 小雪が混じるかと思われるほど寒い日曜日の朝、家族に誘われて湧水を集めて流れる「落合川」を散歩しました。
 武蔵野台地の伏流水は澄んでいて、源流付近には小魚もいませんでしたが、ちょっと下ると、渡り鳥の群が見られます。

 この日も早速浅い流れの中にすくっと立ち、じーっと獲物を狙って、真白い「ダイサギ」を見つけました。息を潜めてその姿を見ていると、少しずつ片足を上げて近寄っている様子です。5 分以上も時間をおいて、さっとくちばしで小魚らしきものを啄んで飲み込んでしまいました。
 「朝ごはん」に有り付いた「ダイサギ」の俊敏さに感心していると、その周りには数羽の「カワウ」が潜水しながら移動していますし、つがいらしき「マガモ」も泳いでいるところです。
 その時、犬と散歩中の人が通りかかり、犬が小さな声ですが「ワン」と鳴きました。すると、彼方此方に立ちすくんでいた「ダイサギ」が一斉に「ガア」と鳴いて飛び立ちました。急いで数を数えたところ、8 羽はいました。
 橋の下の水草が繁茂している場所から、50m位低空飛行し、やがて高めに飛んで、100m先の水面に再び降り立ちました。両羽を 1m位に広げて長い脚を伸ばし、目の前を横切る真っ白い姿の集団に感動です。
 見上げると、空には電線や灌木の小枝には「ヒヨドリ」「ムクドリ」が、川のコンクリートの護岸にも「コアジサシ」が張り付いて何かを啄んでいます。その他「キセキレイ」や「ヒドリガモ」もいたらしいのですが、私にはちょっと見損ないました。

 早く起きた休日の朝には必見の幸運な野鳥観察でした。


1月10日 園長 齊藤昌子

 新しい年の始めを寿ぎ、皆さまのご健康をお祈り申し上げます。
昨年を振り返りますと、様々な行事がスムーズに進行し、お子様たちの成長に目覚ましい発見が様々あったことに感謝申し上げます。

 中でも既にお気付きのことと思いますが、全園児さんが文字に目覚めたことではないでしょうか?
 これまで私は「3 歳児にはまだ早いかな?」とか「文字は学校での管轄では?」とまで思っていたのでしたが、コスモスポーツクラブの山下先生のおすすめがあって、お子様たちが絵本を積極的に読めるように取り組むことにしました。
 すると、「この字、何ていう字?」とか「一列読めたよ」などと反応があり、又、友達に刺激をされてか、「もう三冊目だよ」「わたしは四冊目」という声が聞かれるようになり、担任は、それではと読んだ本の冊数をシールで飾ることにしました。

 後は推して知るべしです。
 「もっと読みたい」「本って面白い」と知らない字を覚えようとする人が続出となったことは言うまでもありません。

 結果、年長児は、「こんどの おゆうぎかいは がんばりますから みにきてください。」などと、プログラムにカードとして添えたりしました。
 そして何よりも、それが「たのしいね」「うれしいね」のつぶやきになっていることです。文字は知識を貯める上で、必需品ということを知った人たちが、夢中になって文字の「読み」「書き」に取り組んでいる姿をそこここで見かけます。
 幼稚園としては無理のない程度に伸びていってほしいと願っています。


12月1日 園長 齊藤昌子

 11 月の東京に 54 年振りの初雪となった日のことです。
テレビの予報では、「午前 9 時頃がピークで、次第に雨まじりとなって、やがて晴れるでしょう。」ということでしたので、通常保育と決めていました。

 久しぶりの雪とあって、園児さんたちは大はしゃぎで登園して来ました。「雪だるまを作ろうね。」とか「雪合戦やるぞ」とか、目が語っているようです。予報に反して、雪は 9 時を過ぎても降り続き、人工芝の上はうっすら白くなっておりました。

 賑やかな声に、ふと見ると園庭には園児さんたちがいっぱいです。
みんな夢中になって、あちこちから雪をこそげ取ってきては、雪合戦をしています。ほとんどシャーベット状になっていますけれど、ご本人たちにとっては、雪合戦をやるための貴重な雪の玉です。寒さの中、園庭の隅から隅まで踏みならして、あっという間に引き上げていきましたけれど、なんというエネルギーの塊でしょう。
 あとに残ったのは、塀の際まで踏みしめられた足跡と、小さなちょっと傾いている雪だるまが三つでした。

 私は毎日、園児さんたちから元気をもらっている身ですが、今日はまた、一段と大盛りの元気をもらった気がします。


11月1日 園長 齊藤昌子

 生まれたばかりの赤ちゃんは、毎日のご両親の温かい見守りの中で育ち、最初に見せてくれるのが、天使の微笑みと言われる笑顔ですね。そのために、周りの者は、どんなに癒やされることでしょう。

 笑顔はどんな苦労をも吹き飛ばす力を持っています。私自身も亡き父から「いつも笑顔で」と言われていました。その父を思い出しますと、本当にいつも笑っています。残っている写真は勿論ですが、思い出してみても、笑っている顔しか思い出せません。人生必ずしも笑ってばかりでは、いられない筈なのですが、そういえば笑顔の絶えない父でした。

 その頃、父の子供である私たち兄弟姉妹は、一人が何かにつまずくと、全員で落ち込んだりしました。皆で暗くなって黙り込んでいると、玄関に

「ただいまー!」

と父の声です。

「お帰りなさーい!」

と立つことすらしない日もありました。そんな時、父は決して怒ったりしないで、

「ただいま。ただいま。いまただ。いまただ。」
「お姉ちゃん。お姉ちゃん。ちゃんおね。ちゃんおね。」

と言い続けて、一人一人の顔を上に向けます。

 ここまでくると、全員同時にプッと吹き出して大笑いになってしまいます。そんな父を思い出しながら休日を過ごしていると、とっても幸せな気持ちになりました。

 さて、どれだけ父の教えを実行できているでしょうか。
 せめて、園児さんにも笑顔の効力を伝えなければと思います。

 皆さん、にこにこしましょう!
 生まれたての赤ちゃんのようにね!


10月3日 園長 齊藤昌子 

 最近、年長組の中で、かけっこで遅かった友達に対して、
「惜しかったね。もう少しだったのに。」
「もう一回やれば、速くなるよ。」
という友達同士の会話があったそうです。担任が何気なく聞いて、みんな大人になったなあ、とのことでした。
 園児さんの成長の一つですが、最も嬉しい成長の一つですね。

 幼稚園では、それぞれのクラスの生活の中で、沢山の成長のための課題を作っているのですが、読み書き、体操、スイミング、歌、ピアノ、ヴァイオリン、おゆうぎ等・・・。毎日園児さんは真面目に取り組んでいます。

 それでも、いくら頑張ってもお友達より速く走れない人もいます。そんな中で、少し諦めかけて「もういいや。」となりそうな時、聞こえてきたのは友達の言葉だったのです。「うん、そうだね。」とにっこりしたことを想像しています。そしてまた、言った友達も笑顔になるでしょう。

 二人の笑顔の周りでは、幸せな笑顔の数々が生まれます。
 笑顔の広がりは、確実にふくらみ、やがてクラス中に流行します。
「この頃、何か楽しそう……」と感じられるクラスの雰囲気は、やる気の塊の様でした。


 

9月1日 園長 齊藤昌子

 先日、全国公立幼稚園こども園長会 (東京) が 3 月に発表した調査に関する記事を見ました。

 園児が「身についていない」とされた生活技能は「ひもを結ぶ」が最多で、保護者の 77.7%、教員の 76.2% に上り、「箸を正しく持って使う」(保護者 39.3%、教員の 66.7%) も多く、「ふきんを絞る」や「物を包む」も保護者、教員ともに 4 割前後が課題としたとのことです。

 実は、当園の年長組は 4 月当初からお弁当の組み方でリボン結びに取り組んでいますので、ほとんどの人ができているのです。折しも 9 月の目標に、「リボン結び」と掲げたには、ちょっと遅れている人のための総仕上げの意味があります。

 年少、中の時は、袋状のお弁当入れでよいのですが、年長になると同時に風呂敷状の正方形の布に変えていただいています。

 毎月の園だよりの中の一頁に「月案」があります。
 生活指導に始まり、健康、自然、絵画、音楽、等と細かく掲げてありますので、時々ご覧ください。


7月1日 園長 齊藤昌子

 6 月は父の日の前日 18 日(土) 恒例の「お父様と散歩」の行事を行いました。何分お天気次第の行事ですので、雨が降ったらおしまいです。
 当日幸いなことに天気は上々。見上げれば、雲一つない真っ青な大空です。テレビの予報は、「今年度最高の暑さになるのでしょう」と告げていましたので、今年はラッキーな散歩日和でした。
 8 時 10 分に出発しました。総勢 73 名でしたから、その隊列はとても長くなります。でも我が子と手を繋いだお父様の姿は、穏やかそのもの、平和の象徴の様でございました。
 一方、園児さんの顔と言えば、これまでみたことのない位の満面の笑みに輝いているのです。(いえ、大げさではなく)
 大層ゆっくり歩いた筈ですが、30 分もすると現地到着です。「全く疲れてなーい」と子どもたち。それぞれご持参のおやつをいただいてから、先生方工夫の親子ゲームで大盛り上がり。お父様も日頃の運動不足の解消とばかりに全力疾走されていましたね。
 「上の子は雨ばかりで、実は今日はじめての参加なんです。」という方や、「日頃、朝早く、夜遅いもんですから、こんなに堂々と手を繋いで歩くなんてことは、滅多にないんですよ。いやあ、ありがたいです。」と話される方もありました。
 かくして 2 時間の楽しいイベントはあっという間に解散の時を迎えました。
 日頃、お仕事でお疲れのところ、園児のためにお付き合い頂き誠にありがとうございました。


6月1日 園長 齊藤昌子

 最近、絵本を読もうとする人が増えています。

 各クラスには、本棚に沢山の絵本がありますが、みんな熱心に読んでいます。中には一つずつ字をたどりながら読む人や、「これ何という字?」と先生に確かめながら、ゆっくりと読み進んでいる人もいます。

 この現象は年長・中に関係なく各クラス共に見られるのですが、そのうちに園にある全ての絵本を読み尽す人が出るかもしれません。

 これは年度初めに先生方が牟礼幼稚園の教育方針の一つにある「かしこい子どもにする保育」に着目したからだと思います。

 この所、全園児さんが絵本に目覚めた感がありまして、いささか絵本が足りなくなりました。

 そこで、ご家庭で不要になりました絵本をご寄贈くださいます様お願いします。早速お持ち下さった方もあり、重宝しております。
 大切な園児さんの心の友となることでしょう。


5月2日 園長 齊藤昌子

 「園長センセーイ、みてみて……」と何処からか声がします。
はて?声の出どころは?
 見ると、居ました。鉄棒に逆さにぶら下がっています。
 声の主は、年中組の B 子ちゃんです。小さい時、鉄棒にはあまり近づかなかった人です。最近になって懸命に鉄棒に取り付き始めたことを担任から聞いていましたので、一声掛けることにしました。

 「それだけ?……手、離せないの?」

すると、彼女が起こした行動は、目を見張るものでした。

 ひょいと、手を放して地面に手をつき、鉄棒に絡めていた足が宙を舞って、地面に立ち上がりました。そして、私が見ていることを確かめるとすかさず、次なる種目に取り掛かりました。蹴上がりと、後回り連続 2 回でした。終わると隣の雲梯を、上から一段飛ばしで軽々と下まで……。
 それはそれは優雅に舞う蝶々かと思われました。(一寸オーバー)。
その上、彼女は両手を広げて硬くなった小さな豆を見せてくれました。

 今度は、小さなうめ組さんが近寄ってきて、

 「アタシうめ組。……何組?」
 「…………。」

 咄嗟に答えられなくて、悪かったなぁと反省しています。
 かくして園庭では今日もまた、華麗なる生活が、園児さんたちによって繰り広げられています。


4月7日 園長 齊藤昌子

 新年度が始まりました。毎年のことですが、4月1日を迎えると、ホッといたしますと同時に、これから始める一年の目標を思い描きます。園児さん一人一人を、どれだけ伸ばしてあげられるか?保育目標に過不足はないか?等、際限なく心に浮かんで参ります。

 さて、あるお母さんがおっしゃいました。
 「うちの子は、どうして親の (私の) いうことをきかないのでしょう?」
 よくある質問です。そのお母さんは理想が高く、我が子を飛び切り良い子にしたいので、毎日のようにあれこれと注文をつけていたそうです。つまり、「朝は早く起きなさい!」「ごはんは早く食べなさい!」「お支度はさっさとして、お部屋は綺麗に片付けなさい!」等。
 ところが、言えば言う程子供は反対行動になり、朝はなかなか起きないし、ごはんはノロノロして食べないし、おまけにお片付けが大嫌い!という子供になった、とのことでした。
 こういったお母さんは、子供の欠点ばかり指摘して、少しも褒めることをしない人ですから、たった一つ、お母さんの心を変えるだけで、すべて解決いたしますので、実験してみて下さい。
 つまり、褒め育てです。

 ① 朝起きた時に、例えどんなに遅くても「よく起きられたわね」と言う。
 ② ごはんを食べる時も何か褒める言葉を見つけて褒める。
 ③ 親の言うことを一つでも聞いてくれたらありがとうと言う。

 幼稚園では徹底して褒め育てをしています。
 はじめは一列に並ぶことすら何のこと?と立っているだけの園児にも真っ直ぐに立っていられて、偉いねと一人を褒めます。すると他の人も我勝ちに真っ直ぐに立ち、一列になるのです。かわいいですね。
 かくして、一年間のうちに色々なことを覚え、幼稚園が大好きになってくれるのです。どうぞご家庭でも実現できますので、よろしくご協力ください。