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ヘレン・ケラーが主役だと思っている人が多いこの映画。実はそうではなく、彼女の家庭教師だったアニー・サリバンが主役なのです。その年のアカデミー賞を総なめにする勢いで評価(アニー・サリバン役の女優が主演女優賞、ヘレン・ケラー役の女の子が助演女優賞を受賞)されたこの映画を、最近になって偶然観る機会がありました。目が見えず、耳も聞こえず、言葉もしゃべれない「三重苦」のヘレンをアニーは実に献身的に教育するのですが、それは本当に気が遠くなるくらい根気の要る仕事でした。
アニーが教育し始めた頃のヘレンは、その障害を理由に両親から大甘に育てられており、わがままで、まるで動物の本能で動いているような子供でもあったのです。しかし、アニーの(時には厳しさを伴った)情熱は、やがてヘレンの可能性を次々に引き出し、三重苦の彼女をして、なんとハーバード大学を卒業するまでにしたのです。
映画のタイトルである「奇跡の人」というのは、このアニーに対してつけられたものなのですが、アニーはまさにそう呼ばれるにふさわしい先生だと思いました。
この映画は、私たちに多くの子育ての鉄則を示してくれています。それは「子供は必要以上に甘やかさないこと」「絶対にできると信じ続けること」「どんな子供にも無限の可能性があるということ」などです。
特に悪戦苦闘の末、ヘレンに言葉を理解させることに成功したシーンはこの映画のクライマックスになっていますが、その後から目覚しい成長を遂げていくヘレンのことを思えば、人間が言葉を獲得するということは、本当に大切なのだと思わずにはいられません。人間は言葉を使ってものを考える動物だとするならば、やはり幼児期に多くの言葉を教えてあげることは大切なことです。ヘレンは言葉を使ってものを考えられるようになって、はじめて人間らしくなれたということが言えるのではないでしょうか。
幼児に対する言葉の教育を実践していた故:石井勲氏もその著書『幼児はみんな天才』(日本教文社)の中でこのように述べています。「人生と言う冒険の旅に子供を旅立たせる時には色々な用意が必要です。一体何を身につけさせて旅に出してやるべきでしょうか? あれも身につけさせたい、これも持たせてやりたいというのが親心です。しかし、そう何もかも持たせてやるわけにはいきません。せめて一番大事なものだけは持たせてやりたい。そう思った時に用意すべきものは何でしょうか? 困難に打ち勝つ強い心、他人に対するやさしさ、美しいものに感動する感受性。そして世の中をより良く生き抜いていく知恵。これらを子供の白紙の心に注ぎ込んで行くのは親の希望であり、また努めでもありましょう。そして最後に必要なもの、それは知恵を磨く言葉です。」
この時期一つ進級した子供たちには、それを良いきっかけにして今年はたくさん本を読めるようにし、子供たちに自分で使える言葉を増やしてあげましょう。
きっとよくものを考えられる子供に育つはずです。
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みなさん、こんにちは! みぞけんまんです。
このコーナーは、多くの対象の方(子供に関係する方全て)に気軽に読んでいただこうと思いまして、あれこれと考えた結果、特に親しみやすい「映画」や「本」などを切り口にしながら、あくまでアメリカンに、シュガー&ミルクたっぷり?にお伝えし、「全ての道は私立園に通ず」を実証していこうとするものです。
みなさん、どんどん遊びに来てください! このページを通して、仕事中だけでなくプライベートな時間にも「ラフに」、しかしながら「常に」、子供たちのこと、保護者のことが考えられるような感性を身につけられたら(学べたら)、どんなにすばらしいことでしょう。そんな学びの部屋へご招待します。 |
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著作紹介 |
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『実践! 新人・若手保育者の
ためのトラブル・シューティング集』
八田哲夫・溝上健二[共著]
¥1000(税込)
購入希望はPDFダウンロード後ファックスにて注文してください。 |
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