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ファンタジーの古典的名作とされ、世界中で愛され続けている「ピーターパンの冒険」。この物語の主人公であるピーターパンの心象風景から、約20数年前にアメリカの心理学者ダン・カイリーが「ピーターパン・シンドローム(症候群)」という新しい概念を提唱したことをご存知でしょうか? 私はちょうどこの概念が発表された頃の新入社員であり、上司から「ピーターパン症候群」というレジメで研修をしてもらった記憶があります。先日、自分自身が今度は新人にこの話をする立場になってみて、ふと思い出しました。
この「ピーターパン症候群」とは、発表された当時の社会に生きる一部の若い男性に当てはめた心理的傾向のことですが、「大人になりたくない。責任を取りたくない。いつまでも馴れ合いの世界で生きていたい」そして「依存心が強く、怒りっぽい」などが特徴とされています。確かに私の世代(昭和40年代)は「新人類」などと呼ばれ、昭和30年代以前の大人たちからは奇異の目で見られることもありました。上記のような性質をもった男性が日本にも多く現れ始めていたのかも知れません。
では何故ピーターパンが大人になることを拒否し、いつまでも子供のままでいることを強く願ったのでしょうか? まるで、ニートや引きこもりに代表されるような、社会の中で自立することを拒んでしまう日本の一部の若者(特に男性)たちのように。
その原因のひとつは、実はウエンディとの関係にあるのです。ウエンディは本心ではピーターと、恋人か友達になりたいと願っていながら、いろいろなトラブルに巻き込まれながら、実質的には母親代わりをさせられてしまいます。そして、その状況が実は不満であるのにもかかわらず、それをピーターにはっきりと言うことができず、どんどん彼の言いなりになっていきます。結果的にウエンディの行動はピーターのわがままで子供っぽい行動を支えてしまい、助長させることになっているのです。そしてそれに気づいていながら決して彼と別れようとはしません。なぜなら彼女のその行動は、もはや彼女の生きがいそのものにまでなっているからです。実はこのような行動的特質を持つ女性の状況をテーマにした「ウエンディ・ジレンマ」と呼ばれる本もあります。
要するに子離れできない母親に甘やかされて育てられた、最近の男の子と一緒なのです。ウエンディ・ジレンマの母親に育てられた男の子がピーターパン・シンドロームになっていく…。こんなケース、皆さんの周りにもありませんか?そういえば、以前「フック」という映画があって、記憶を失った中年ピーターパンと復讐に燃えるフックが現代を舞台にして戦いを繰り広げていましたが、なぜあの映画のタイトルが主役の「ピーターパン」ではなく敵役の「フック」なのかずっと謎でした。しかし今ならなんとなくわかる気がします。子供たちにとって「フック」はとても大切な存在だったのです。そう、大人になるために越えなければならない大きな壁として。だからスピルバーグはあえてあの映画のタイトルを「ピーターパン」ではなく「フック」にしたのでしょう。
さて、皆さんの家庭にフック船長はいますか?
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みなさん、こんにちは! みぞけんまんです。
このコーナーは、多くの対象の方(子供に関係する方全て)に気軽に読んでいただこうと思いまして、あれこれと考えた結果、特に親しみやすい「映画」や「本」などを切り口にしながら、あくまでアメリカンに、シュガー&ミルクたっぷり?にお伝えし、「全ての道は私立園に通ず」を実証していこうとするものです。
みなさん、どんどん遊びに来てください! このページを通して、仕事中だけでなくプライベートな時間にも「ラフに」、しかしながら「常に」、子供たちのこと、保護者のことが考えられるような感性を身につけられたら(学べたら)、どんなにすばらしいことでしょう。そんな学びの部屋へご招待します。 |
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著作紹介 |
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『実践! 新人・若手保育者の
ためのトラブル・シューティング集』
八田哲夫・溝上健二[共著]
¥1000(税込)
購入希望はPDFダウンロード後ファックスにて注文してください。 |
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