●ROOM No.21(2009年2月)
「キッド」(THE KID)
「なんでオレだけがこんなひどい目にあうんだ?」と血だらけになって頑張っている「ダイ・ハード」で有名なブルース・ウィリスが、やり手のビジネスマンに扮する映画「キッド」。仕事に忙しい彼の前にある日突然、8歳の少年が現れます。実はこの少年はブルース・ウィリスの少年時代が現代によみがえった姿。最初は「この悪ガキが!」とうるさがっていたブルース・ウィリスもこの少年と暮らすうちに、次第に自分の子供の頃の夢を思い出します。それは「40歳にもなって(作品中のブルース・ウィリスの年齢)、まだパイロットじゃなくて、犬も飼っていなくて、家族もいなくて、一人ぼっちなの?」という少年のセリフがきっかけでした。ブルース・ウィリスは少年の頃、パイロットになりたいと思っていたし、犬も飼いたいと思っていたのです。ひょんなことからコンサルタントなどという、時間に追われる仕事に就いてしまったために、そんな夢を持っていたことなど忘れてしまい、周りの人たちにもどこか冷たく接するようになっていました。周りの人たちは、そんな彼を「冷たいやり手のビジネスマン」としてみていますが、当の本人はそんなことは気にせず、自分を批判する人たちに対して「負け犬の遠吠えだ。悔しかったらオレのようにやってみろ!」と突き放していました。しかし、少年との暮らしが、彼のこの信念を少しずつぐらつかせ始めます。結局ブルース・ウィリスは自分の少年の頃の夢のとおりに、コンサルタントをやめてパイロットになり、犬も飼います。結婚もして家族も作ります。すると……、少年はその瞬間に彼の前から姿を消してしまったのです。

 今、私の愚息が4月からの大学生活に胸をときめかせています。大学の部活で駅伝をやることに決まっている彼は、口を開けば、私の学生時代の夢と同じ「箱根駅伝に出る!」といきまいています。大きな夢を持つことは親としては喜ばしいことですから、精一杯応援してやろうと思っています。しかし、そんな時でした。この「キッド」という映画を思い出したのは。「箱根駅伝に出場するんだ!」というあの頃の自分の夢と一緒にです。ブルース・ウィリスの前に現れた8歳の少年は、おそらく神様が「あの男に子供の頃の夢を思い出させて来い」といわれて遣わしたのだと思いますが、同じように私の息子も私に若い日の夢を鮮明に思い出させてくれました。結局私はブルース・ウィリスが夢に敗れて別の職業に就いたように、箱根駅伝の夢を叶えることなく走ることもやめてしまっています。箱根駅伝には年齢制限があり、いまさらどうしようもないことなのですが、あまりにも熱く夢を語る息子を見ていると、もしかしたら、こいつも私の大学時代の自分がよみがえった姿なのかもしれない…… そういえば顔は少々だけど、性格はめちゃくちゃ似てる…… と思ってしまいました。そして神様に遣わされて「もう一度あの頃の自分を取り戻せ!」と言ってくれているのだと思ったのです。さすがに息子が消えてしまっては大変ですから、箱根駅伝は応援するだけにしておきますが(笑)息子に負けぬよう熱い気持ちだけは取り戻したいと思いました。そういう意味では息子(自分の心の姿なのかも)に感謝! でしたし、「キッド」という映画も自分の中でますます良い映画になりました。

 さて皆さん。皆さんは自分の子供の頃の夢、叶えていますか? 何時までもぐずぐずしていると、私のように自分の子供が熱い口調で「何かを」言い出すかも知れませんよ。
 まあ、それも結構いいものですが。

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みぞけんまん
 みなさん、こんにちは! みぞけんまんです。
 このコーナーは、多くの対象の方(子供に関係する方全て)に気軽に読んでいただこうと思いまして、あれこれと考えた結果、特に親しみやすい「映画」や「本」などを切り口にしながら、あくまでアメリカンに、シュガー&ミルクたっぷり?にお伝えし、「全ての道は私立園に通ず」を実証していこうとするものです。
 みなさん、どんどん遊びに来てください! このページを通して、仕事中だけでなくプライベートな時間にも「ラフに」、しかしながら「常に」、子供たちのこと、保護者のことが考えられるような感性を身につけられたら(学べたら)、どんなにすばらしいことでしょう。そんな学びの部屋へご招待します。
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