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最近、本業とは関係のない本を好んで手に取るようになりました。
たとえば「法廷が流した涙」(白木達也著 ぶんか社文庫)。これは「悪人とは?犯罪って?」について深〜く考えさせられる1冊です。いい人がふとしたきっかけから、人生の溝に落ちていくさまが描写されている、すべて実話(13話収録)の裁判傍聴記です。おりしも、裁判員が参加した裁判が一気に始まり話題を振りまいていますが、私のような普通の人間が普通の人間だった人を裁く…… こんな本を読んでしまうと自分にそんなことができるのだろうか? とふと考え込んでしまいます。
「こいつは絶対に悪いやつだが、法律上は無罪である」という悔しさや「この人は本当は善人なのだが法律上は犯罪者になる」などという理不尽と正面きって向かいあうことなど到底出来そうにありません。こんな難しいこと、「誰でもできる。大丈夫」なんて、法務省や最高裁も本気で考えていたのでしょうか? せめて裁判員になるための「裁判員試験」くらいは作ってもよさそうなものです。でもまだそんなものはありません。
そこで! 唐突ですが、皆さんに私からの裁判員試験を……。
そのためにまずは「鬼畜」という映画を観ていただかなければなりません。この映画は、気の弱い男・宗吉(緒形拳)が、ある日突然3人の隠し子を押しつけられ、本妻(岩下志麻)にすごまれながら、動転して親とは思えない行動に出てしまうさまを描いたサスペンス・タッチの人間ドラマです。
松本清張の原作を野村芳太郎監督が映画化した作品ですが、主演の岩下志麻さんは極道の妻よりも恐ろしく、緒形拳さんは役者生活の代表作といってもいいくらい迫真の演技です。
そこで問題です。それは、わが子に対する殺人未遂容疑で移送されてきた宗吉(緒形拳)が警察で、自分が崖から突き落とし、殺しかけた子供と親子の対面をする映画のラストシーンからです。
「坊やのお父さんだね?」という警官の問いにその子供は、なぜか激しく拒否しました。(そのときの子供(5歳)の何とも言えない瞳は緒方さん、岩下さんという名優を完全に上回っています)「よその人だよ、知らないよ、父ちゃんじゃないよ!」。このセリフを、父をかばったととるか、「もう自分には父などいない。保護者などいないのだ」という少年の決意ととるか。緒方拳をどう裁くか、というか裁けるか。岩下志麻さんは悪くないのか? 隠し子を緒方拳に押しつけて失踪した小川真由美さんはどうなのか? ま、どんな答えにせよ、この映画を観たうえで、誰にどのくらいの刑を与えられるかを、はっきりと言い切れた人は、見事私の裁判員試験に合格です。
私はといえば、手錠がかかった手を合掌するように上げて、部屋いっぱいに響くくらいの声で、涙を流して絶叫する緒方拳の「利一!(子供の名前)かんべんしてくれ!」という声が響いた瞬間に……。
私はやはりまだまだ裁判員にはなれないようです。
親子の絆とは? 秋の夜長の名画鑑賞にも是非。
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みなさん、こんにちは! みぞけんまんです。
このコーナーは、多くの対象の方(子供に関係する方全て)に気軽に読んでいただこうと思いまして、あれこれと考えた結果、特に親しみやすい「映画」や「本」などを切り口にしながら、あくまでアメリカンに、シュガー&ミルクたっぷり?にお伝えし、「全ての道は私立園に通ず」を実証していこうとするものです。
みなさん、どんどん遊びに来てください! このページを通して、仕事中だけでなくプライベートな時間にも「ラフに」、しかしながら「常に」、子供たちのこと、保護者のことが考えられるような感性を身につけられたら(学べたら)、どんなにすばらしいことでしょう。そんな学びの部屋へご招待します。 |
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著作紹介 |
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『実践! 新人・若手保育者の
ためのトラブル・シューティング集』
八田哲夫・溝上健二[共著]
¥1000(税込)
購入希望はPDFダウンロード後ファックスにて注文してください。 |
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